光琳・乾山の世界・焼物に描かれた名画 大和額安寺鎌倉極楽寺・五輪塔の納入品・鎌倉時代の高僧・忍性菩薩をしのぶ等図録買取

光琳・乾山の世界・焼物に描かれた名画 大和額安寺鎌倉極楽寺・五輪塔の納入品・鎌倉時代の高僧・忍性菩薩をしのぶ等図録入荷しました。ありがとうございました。

光琳・乾山の世界・焼物に描かれた名画 こちらは正確にはやきものというよりもむしろそこ描かれた絵画に焦点を当てた展観です。

私は昭和の四十年頃から約四十年位かけて美しいと思っ た宗達、光琳と乾山及び琳派の作品を集めてきた。同時に 光琳、乾山の展覧会を見たり、著書を読んで研究してきた。 

考えるとこれまでに日本各地で毎年のように光琳展が行わ れている。しかし新発見の作品はあまり展示されていない。 それは新しく出て来た作品が学者間で間違いのないもので あるとの確信が得られなかったからであろう。それは作品 に自分が造ったと乾山が自署したものを研究しなかったか らである。その期間が長かったため、今まで知られていな かったのは贋作であるとする意識が強くなり、新しい作品 を研究しようとする気持が失われてきたのである。

今回展 示する作品には今まで知られて居なかった光琳や乾山の自 筆の記録や作品のある共箱のものが多く、かつ光琳乾山の 下図を多く展示しており、ここから光琳、乾山の筆跡を研 究して鑑定に役立てて貰えれば嬉しいと思う。光琳と乾山 の筆跡をよく研究すれば、筆使いに独自のものがあり容易 に真似できないことが分かる。そして光琳、乾山が絵で何 を描こうとしたかを見直して貰えれば後世の役にたつので はなかろうか。

大和額安寺鎌倉極楽寺・五輪塔の納入品・鎌倉時代の高僧・忍性菩薩をしのぶ

古代はもとより、中世においても、著名な人物の骨蔵器(俗に言う舎利容器)が発見されることは稀有なことであるが、中世の傑出した律僧・忍性菩薩の骨蔵器が、本葬地であ る鎌倉極楽寺のみならず、分骨地である額安寺において近年、相次いで発見されたことは 学界の驚きであったといえよう。

今回、幸にも両寺の格別の御好意により、この二つの骨蔵器、およびそれらと一緒に出 土した品々と忍性菩薩に関する若干の資料を加えて、公開の機会をもつことができるのは 喜びにたえない。

言うまでもなく、忍性菩薩は中世南都仏教の先達の一人として、とりわけ新都鎌倉を中心に、政治や宗教の救済の将外にあった貧しい庶民や不治の病者の救済に生涯を捧げ、ま さに社会福祉事業の先覚者というべき人物である。

今回の特別陳列は、必ずしも忍性菩薩の人物像に焦点をあてたものではないが、中世墓葬の解明に資するばかりでなく、忍性菩薩その人の思想と行動の理解に役立つことを期待してやまないものである。
昭和六十一年二月
奈良国立博物館長濱田