本日の気になる一冊・きらめきで飾る・螺鈿の美をあつめて

アジアの漆芸美を俯瞰する資料的一冊 ―『きらめきで飾る・螺鈿の美をあつめて Dazzling beauty : the art of Asian lacquerware inlaid with morher-of-pearl』

今回取り上げるのは、2016年に刊行された展覧会図録**『きらめきで飾る・螺鈿の美をあつめて』**です。

きらめきで飾る・螺鈿の美をあつめて

螺鈿は、夜光貝や鮑貝を精緻に加工し、漆地に伏せ込むことで、光の干渉による神秘的な輝きを放つ漆芸の極致とも言える技法です。本書は、東アジア諸地域における螺鈿の歴史的変遷と、その技術的特質を体系的に概観できる優れた資料となっています。

本書の構成と意義

  • 広範な地域性への視座:唐代中国に端を発し、日本、朝鮮半島、そして独自の発展を遂げた琉球螺鈿まで、アジア各国の優品を厳選。地域ごとに異なる文様の特質や意匠の変遷を比較検討することが可能です。

  • 技術的考察の深化:特に交易の中継地として国外の様式を吸収・昇華させた琉球螺鈿の記述は、当時の文化交流の深度を物語る貴重な記録となっています。

  • 図版資料としての価値:全112ページにわたり、螺鈿特有の輝きを捉えた鮮明な図版を収録。細密な技法を視覚的に確認でき、工芸史・意匠研究の資料としても高い有用性を備えています。

刊行から年数を経ており、市場での残存部数も僅少となりつつある一冊です。漆芸研究の基礎資料として、また螺鈿という美学の深淵に触れるための愛蔵書として、この機会にぜひご検討ください。