【埼玉県川口市より】写真画集長崎・響写真館・井手伝次郎等買取

写真画集長崎・響写真館・井手伝次郎が昭和2年から16年間だけ開いた幻の写真館・昭和2年発行　非売品

発行は昭和2年ですから響写真館が発行した最初期の写真集。武藤長蔵氏の序文は井手伝次郎氏から依頼された旨書かれています。非売品ですので残存部数はかなり少ないものと思われます。第二集の雲仙嶽と島原半島ははたして発行されたのでしょうか。気になります。今後二度と手に入らない一品ですので紹介させていただきます。

「長崎」序
徳川時代、長崎は写真に關する智識の我國に傳來した門戸であった。 其長崎の響写真館主井手伝次郎君が、今回当写真集「長崎」を発刊するに當り、私に序文を徵せられた。 今其內容目次を一瞥するに第一に 「エキゾチック(Exotic Exotique)の港」の部に Hotel din Japon 大浦海岸、ちゃるめら(Charmelh)の鳴る頃等が収めてある。

第二名勝と史蹟中に収められたものの中で シーボルト先生がケンペル及ツウンベ 先生記念のために出島花畑に建てられ、今は諏訪公園内に移されて居る記念碑の写真館主に依頼して大きく撮影し、昨年來朝の端典皇太子殿下に献上したが、共記念碑の石摺等共に御嘉納遊ばされた事等を今思浮べる次第である

武藤長蔵

編輯を終りて
張りつめた気持ちで愈々仕事にかかって見てしみじみ感じた事は、自らの故郷でありながら、而も郷土の史蹟風物に対する智識の貧弱な事で、材料ばかり多くて、つき詰めれば詰める程次第に奥深く、とても私などの手では始末がつかなくなりましたので、誠に殘念ではありましたが、ここ先づ此の程度で切りあげる事 にしました。

編集にかかってから万一ヶ年、幾度改訂を加へた事であらう、そして、今ャット上梓されんとして再び繰り返して見る時、あれだけの愛着と興奮の中に辛うじて遂げた仕事が何とみすぼらしい姿である事よ、凡てに最初の期待を裏切って 誠にあっけない事夥しい、殊に細谷印刷所主御兄弟が、時間と労力と経済を無視して犠牲的努力に對して、何とお詫びの申上げやうもない、其代り同所の技術は 私の凡ての欠を補ってなほ余りある結果を齊らすであらう事を信じて、ひそかに慰めて居る次第であります。

これは「長崎」の第一輯として出したものでありますが、次輯からば更に內容 萬端洗練を加へて、眞に理想的な画集として發表して行き度いと希って居ります

第二集は、「雲仙嶽と島原半島」と題して、遅くも來年秋迄には上梓の予定だと いふ事を書き添へて置きます。
昭和二年四月

陸奥弘前後凋園主・菊池楯衛遺稿　こちらも売れてしまったら二度と手に入らない気がしますので、紹介させていただきます。青森りんごの開祖菊池楯衛氏の遺稿で非売本ですのでおそらく残存部数はかなり少なそうです。前記の写真画集長崎に続き昭和初期の本第二弾です。

菊池循衛 略歷
父菊池循衛は弘化三年丙午二月二日陸奥国弘前藩に生まれ大正七年四月八日同地において逝去された、行年73歳。旧藩時代には専ら山林樹芸の業務を担当し廃藩置県後は自ら鍬を執って農耕に従事し、広く本草及び農芸に関する書籍を渉猟した。今農林園芸に関する略歴を記述してみると
明治2年旧津軽藩において山林取締役を命ぜられ樹芸方兼務を申し付けられ各地の山林に樹木植付に従事した同四年士族が農村に移住するにつき家屋建築用の材木配布方を命ぜられ、同六年までこの業務に従事した。明治7年太政官御達により県内山林取調を命ぜられ翌八年中特に官林の調査に従事した。

明治八年に内務省勧業寮から青森県庁を通じて葡萄その他の舶来果樹苗の下附を受け、初めて洋酒果樹の栽植に着手した 。