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日本木船図集 橋本徳寿他乗り物の本お譲りいただきました。

日本木船図集 橋本徳寿

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担当スタッフより

日本木船図集 橋本徳寿他乗り物の本お譲りいただきました。今回紹介するのは船の本です。

日本木船図集 橋本徳寿

私は前に『漁船図集』という本を、続けて3、4冊編んだことがある。それは 業界から喜ばれて、大いに重宝がられたものであった。戦争まえのことであり、 それらの図集はいまでは殆んど入手不可能である。あちこちから問合せがあるが どうにもならない。近頃水産庁が『日本漁船図集』というよい本を出版したが、 一般に発売しないので、私なども欲しくても入手困難であって、広く業界の要望 に添い得ないでいるのは残念である。

そこで私が一大発奮をして編んだものがこの『日本木船図集』である。前記の ように私には、図集編集の経験が相当にあるので、それについての意見はもって いる。日本船舶の全般にわたつての図集が最も望ましいのであるが、それは余り に範囲が広すぎて、到底私1人の手にはおえそうにもない。そこで私の専門とす る『木船』に限った。鋼船の方は他に適当な人を待つことにする。

このたびは漁船のみに限定せずに、木船の全般にひととおり行きわたるように した。それにしても、木船の花形は何といっても漁船であって、数からいっても 最も多く、業種別の種類も多く、然もその種別によって、船型、艤装がちがつて くるので、図集に収録するにあたっても、漁船が最も多くなるのが自然のいきお いである。

次に収録する船であるが、方針として現代に主点を置くか、歴史的に見ても意 義を有たせるかということになるのである。私が前に編集した『漁船図集』は、 その時代々々に力点を置いたのであった。つまりその時代に於ける『現代』の船 を主眼にしたのであった。続けて刊行し得る条件のもとにあっては、それが最も よろしい。然し『現役』のみを主点とした編集方法はあたらしいだけに、それだ けに範囲が限られてくるのは理の当然である。そこで私の今度採った方針は「現 代』のみに主点を置かずに、歴史的に見ても意義のあるようにした。

近代日本造船術の出発は嘉永6年(1853) の大船製造解禁にはじまり、船とし ては、安政3年(1856)に建造された君澤形を以って、その第一船とすることは 『解説』にも書いて置いたとおりであると信ずるので、この『日本木船図集』で も、先ず君澤形から出発することにした。続いて木製軍艦の天城とか迅鯨とか、 貨客船の小菅丸とか、外車浅吃水客船の 通運丸とか、米式捕鯨船の 金華山丸と か、鱈釣漁船の大鵬丸とか、照防獣猟船の日東丸とか、魚類運搬船の有魚丸とかは、歴史的に見ても意義の深い船であるのみならず、こういう船図はもうなかな か手に入らないので、そういう意味からもここに収録したのである。また明治20 年代頃までの純和船型の各地方の代表的な漁船を十数種収録したが、これらは現 在ではこのままの船型でのこされているという船は、おそらく一艘もあるまい。 それだけに既に貴重な材料となっているので、その意味からも、外すわけには行 かなかった。私たちの先人の仕事をこういうところに振りかえって見ることも興 味があるのみならず、大いに有益であると思う。

私も木船の仕事に関係してから、既に40数年になる。設計し造った船は漁船、 貨物船、旅客船、曳船、孵、端艇、モーターボートなどと、あらゆる船種の数百隻 にのぼっているので、そういうことをかたわらにしながら、この図集の編集をか えりみると、万更まとが外れているとも思わないのである。目次を見ればわかる とおり、軍艦、鰹鮪漁船、捕鯨船、鱈釣漁船、艦防獣猟船、ビームトローラー、 魚類運搬船、採集船、揚線網漁船、片手迴揚線網漁船、流網漁船、鯉幅巾著網 漁船、米式巾著網漁船、機船底更網漁船、巾著網漁船、鮪釣漁船、小型一般漁 船、捕鯨艇、ドーリー、漁業指導試験練習取締船、海洋気象観測船、貨客船、機 帆船、旅客船、遊覧船、外車船、曳船、孵、合板船、交通艇、パトロールボート、 モーターボート、競走艇、救命艇、端艇、帆装ヨット、純和船型漁船などにおよんでおり、先ずひととおり各種木船にわたって、約50種、109隻(141図、244版) を収録し得たことは、私の大いに喜びとするところであり、御協力下された諸氏 に対して厚く感謝する次第である。欲をいえば各船の排水量等曲線などもすべて あげると 設計上に 参考になるのであるが、あまりに花大になるので、例として 1、2 をあげるにとどめた。

私は既に木船の線図の設計法と現図法とを詳述した『木船現図法』という本を 海文堂から出版した。また木船の設計や見積りに非常に役に立つ『木船便覧』を、 近いうちに刊行するつもりである。この『日本木船図集』は、いわばそれらの姉 妹篇ともいうべきものであるから、この図集にあわせて、『木船現図法』や『木 船便覧』をもお読み下さることを希望する。

昭和31年 8月

橋本德壽


とやまの和船・和船建造技術を後世に伝える会調査報告書3
とやまの和船・和船建造技術を後世に伝える会調査報告書

本州の日本海側ほぼ中央部に位置する富山湾は、豊かな漁場が広がり、古くから漁業で栄えてきました。そうした漁業と漁村の暮らしを支えてきたのが木造の海船です。また、富山県内を流れる河川や水郷地帯でも、川舟が欠かせない存在でした。船大工が古来より伝えてきた技術を駆使して建造された木造の和船は、高度経済成長のなか急速に姿を消していき、現在では和船と建造技術そのものの廃絶が危ぶまれています。

平成15年に和船とその建造技術、和船を用いた漁撈習俗などを後世に伝承していくことを目的として、「和船建造技術を後世に伝える会」の活動を開始してから平成22年度で丸7年を迎えました。

この間、富山湾と周辺地域に現存する和船の現状確認と収集のほか、和船の修復や実測作業、日本 流沿岸地域を中心とした他地域の和船実地調査に加えて、和船建造技術と和船を使用した漁撈作業の 聞き取り調査などを実施してきました。また、平成16年度には『船をつくる、つたえる」、平成19年 度には『氷見の和船』という2冊の調査報告書を刊行し、修復した和船の一部は氷見市立博物館での 一般公開に供するなど、当会の調査成果の周知に努めてきました。

こうした活動を続けるなかで、当会に富山県とその周辺地域に残る実物の和船や造船用具をはじめ とする関連資料が寄せられ、徐々に蓄積されてきました。現在これら貴重な資料を広く公開し、活用 していく必要を強く感じています。

このたび、富山県日本海学推進機構の日本海学研究グループ支援事業の助成をいただき、「和船建 造技術を後世に伝える会」の7年間にわたる調査および保存活動の報告書として本書を刊行いたしま した。本書では、実測図や写真を中心に富山湾周辺地域の和船を概観し、あわせて能登半島の瀬嵐の マルキブネに関する造船資料や漁撈の実際、近年氷見で建造された和船の造船記録について紹介します。

本書が、富山湾と周辺地域の和船研究のうえでの基礎資料となり、消えていこうとしている和船と その建造技術に光をあてる一助になれば幸いです。

和船建造技術を後世に伝える会


1.本書は、和船建造技術を後世に伝える会の調査報告書である。

2.調査及び本書の刊行は、富山県日本海学推進機構より助成金を得て実施した。

  1. 本書の編集は廣瀬直樹が担当し、小境卓治と小谷超が補佐した。

4.各章の文責は各執筆者にある。また用語の統一は特に行っていない。

5.本書の作成にあたり、多くの方々・機関からご助言・ご協力をいただいた。

その方々のご芳名及び協力機関名は巻末に記した。


 

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