武道書買取事例 杖道教範 清水隆次等。杖道教範といっても日貿出版より出されている杖道教範ではなく、昭和42年練武館事務局から発行された杖道教範になります。こちらの方が部数は少なく、現在では手に入れにくいと思われます。ありがとうございました。
本著は杖道を錬磨する人々の為に、 その「入門手引」として自習出来るように、 又初心者が研鑽する為の参考書として役立つことを念願し刊行するものである。

杖道範士 清水隆次
此度全国各地の杖道愛好者各位の御要望にこたえて、杖道普及版とも謂うべき杖道教範が発刊されることにな りました。本教範は神道夢想流杖道之形六十四本の中より、最も平易に判り易い形十二本を選びそれに基本十二本、構え方四本を加え丁寧に解説したものでありますが、実はこの形は全日本剣道連盟より委嘱され全剣連杖道委員会において決定したものであります。杖道が国民武道として広く全国に普及され又諸外国の武道愛好者の方々にも大いに研修されている時、本杖道教範を待ち望んでいるたくさんの方のためにここに自信をもって推薦致すものであります。
かつて講道館長でありました嘉納治五郎先生はこの杖道について「柔道は柔道のための柔道でなく敵が刀を持 って打って来た場合素手では危い、どこの家庭でもステッキか棒の一本位はある、これを持って相手の兇器を打 ち落し接近した時が柔道だ」といわれ「柔道の有段者は一応杖道をやる必要性がある。講道館でやりたいから教へに来られる様に」と仰せられましたので、私は昭和六年一月より終戦当時まで柔道の高段者並に高等柔道教育養成所の講師として講道館に指導に行っておりました。
又昭和の剣聖として尊敬されました中山博道先生は「私は青年時代神道夢想流杖道の師範内田良五郎先生より
杖道を教わって初めて剣道の裏が判った。それに杖独特の手の内、足のさばき、体のこなし方等を覚え剣道の稽古中にも杖道の技を生かしそれがため私は大いに得る所があった」と言っておられました。かつて京都の武徳会 の大会にも中山先生は「全国より夫々諸流の形が出場して演武されるが神道夢想流杖道の如く洗練された良い形はない。武道の中でも国宝的なものだ」と推賞して居られました。中山先生の有信館道場では剣道に、居合杖道 の形を特に併用して稽古されて居られましたのも以上の様に中山先生自身が非常に杖を愛好されていたからであ ります。私は恩師末永節先生が「杖道は今に天下の問題になるから発祥の地福岡から東京に出て来て大いに振興 を計る様に」と平素仰せられて居られましたので昭和五年五月十日京都に於ける武徳会主催の武道大会に出場したのを機会に、思いきって上京し末永先生の原宿のお邸に参上して先生の御支援のもとに四谷区寺町無門道場を拝借して杖道普及の第一声をあげ、講道館、大日本海洋少年団、東京市連合少年団、大日本連合青年団、青年学校、日の出女子高等学校、東京家政女学院、温故女学院、警察講習所(警大の前身)警視庁、満洲帝国協和会青少年訓練所(全満)戦時中は東京都警防団、都内軍需工場青年団幹部訓練所と全国的に目覚しい普及発展に一生懸命努力して来たのであります。
以来終戦後剣道連盟が昭和二十七年発足と同時に杖道、居合、薙刀が正式に加入され追々発展の道をたどり現在益々隆盛に向いつつあるのであります。主なる都市としては東京、大阪、名古屋、兵庫、山口、福岡等でありますが東京では私が一昨年錬武館道場を建設しこの百畳敷の道場では各大学の学生を主として各階級の人々が熱心に稽古に励んで居ります。特に当道場の国際部にありましては、米、英、仏、カナダ、オランダ、スェーデン、デンマーク、イスラエル、ニュージーランド、台湾等々の方が修業しておりこれ等の諸外国人は本国に帰ってから日本武道として杖道を各々指導され日本との国際親善に大いに役立っているものであります。
私は一昨年から昨年にかけ武道評論誌上に十三ヶ月にわたって杖道五十年を記載致しました。私はこの貴重な資料や経験等を生かしこの杖道教範を普く多数の人に配布し国民武道として各武道の先生方と親密な連繋をとって、国民の体力気力の充実と青少年の育成のため余生を打込み杖道普及発展に同志と共に懸命の努力を尽す覚悟であります。
各位におかれましても何卒趣意御賛同下さいまして御努力、御支援、御鞭撻の程切に御願い申し上げる次第で ございます。
尚この杖道教範の発刊に終始努力を傾注した黒田市太郎、神之田常盛、錬武館員等の各氏に深甚なる敬意を表 する次第である。
本書刊行にあたり 今回、各地 各方面より杖道普及発展のため早 急に簡単な指導書をとの要望があった。 幸い本年五月、 日本剣道連盟杖道研究委員会によって制定された杖道の基本及び形をとり入 れ写真挿入の上解説した。
本著は杖道を錬磨する人々の為に、 その「入門手引」として自習出来るように、 又初心者が研鑽する為の参考書として役立つことを念願し刊行するものである。 尚、文章、説明等意を尽さぬ点があると思うが 杖道普及振興に役立つことあれば 幸いである。 本教範刊行に当り御支援、 御教導賜わりました神道夢想流杖道二十五代警視庁武道 講 師 杖道範士 清水隆次先生始め、 御後援下さいま した先生方に深謝すると共に、杖道の開祖、 夢想権之助勝吉先生の英霊に深 甚なる敬意を表する次第である。
昭和四十二年初夏 神道夢想流杖道 鍊武館事務局