本日の本の中の1冊。奥義秘術・空手入門は遠山寛賢の著書になります。以前はそれでも時々流通しておりましたが、最近は見かけることが少なくなりました。版元は元文社、あまり聞きなれない出版ですが、おそらく鶴書房の前身でしょうか。空手道大宝鑑なども併せて買取いたします。ありがとうございました。

空手に関心を持つ全国津々浦々の人々より、ぜひ信頼できる空手道の本を出版して欲しい、という希望があった。 空手道中興の祖、恩師糸洲安恒先生は、責任ある空手の本を公にせんとする人の 資格として、左の三条件を口癖のように挙げられておられた。
第一に、沖繩正統空手の修行に 幾十年つづけて研究し、苦鍛猛練,その真髄奥義を極め、 現実にこれを道場に生かして指導し得る専門家。
第二に、 古来より空手道と姉 輪の関係にある棒術、サイ術、ヌンチャク術、トンファ ー術などの妙技を多年研究し自信をもって開技し得る武士。
第三に、 支那拳法その他に対しても相当の見識を有し実演し得る人。
以上は、空手道を公にせんとする人の資格として、拳聖糸洲先生の一貫した持論であった。本書の稿を起すに当り恩師の御遺高に対し何程貢献し得るや、責任の重 大を痛感している次第である。
本書は空手道大宝鑑の序篇として、空手をこれから研究せんとする人、すでに相 当の域まで研究を積んだ人々など、即ち空手に関心を持っ万人が、 「空手道の唯一の好著である」
を目標に編纂したのであるが、限られた紙数において、その基本開手型五十余 種、柔法剛法数百技、姉妹武道篇、支那拳法篇、女子護身術に至る空手全般に 渉る詳述は到底不可能に属し、その不備補充は別巻、空手道大宝鑑を参照して頂くこととし、本書においては前篇に総論(基礎論) 各論(組織論) 基本鍛練 篇と型と組手篇、奥技篇、後篇附録の数篇に分類し、平易、簡明、親切、周到、 責任を以って解説した積りである。就中、奥技篇に説くところの、その秘術は 著者が東京日比谷公会堂をはじめ大阪の中之島公会堂、全国各地における空手 演武大会並に内外記者団など、「万衆の面前において現実に展開した厳粛なる 妙技」の極意、原理を平易に解説したものである。