埼玉県和光市西大和団地のお客様より買い取りの依頼がありました。県内でしたので、1時間もかからず到着。駅にほど近い場所でした。
江戸伝承大錦手摺木版画・秘蔵浮世絵美人画撰と清親・東京名所図会・純手摺木版画 の2冊をお持ちでした。いずれも手摺木版画になります。ありがとうございました。

日本芸術院院長 高橋誠一郎
一体に物を蒐めるということには、際がない。
浮世絵もそうだ。この、日本が世界に誇れる美術品を蒐めだして、 かれこれ五十年、数にして六千点ほどになる。しかし、まだまだ欲 しいものは、沢山ある。もっと多くの珍品名品の類を、一目でもよ いから見たいと思う。私の如き、このような貪欲なる美術愛好家は、
その意味で、最近の、浮世絵出版の隆盛は同慶の至り。ほかの人の秘蔵して、未だ眼に していない名品が、簡単に見れるということは、たいへんうれしい事だ。それに、それら 美術出版物を通して、大衆の、美術に対する「良い眼」も養われていると聞く。じつに、 よろこばしい事である。
だが、正直言って、やはり本物を手にしたいと思うのは、美術愛好家の人情である。あ の手漉和紙の情感溢れる手ざわり、手彫り手摺り独特の、眼の中で舞うような線と色彩。 江戸伝承の、そのままの美術を手にしたいと思うのである。
そんなところへもち上ったのが、今回の企画である。
「遺珠」 秘蔵されている逸品名品を、なるべく多く撰って、江戸伝承の手法で再現し て出版するという企画である。 浮世絵木版の彫師、摺師の数が、ほんとうに少なくなって、 ひとつの江戸芸術が消えんとしている秋だけに、喜んで監修を引き受けた。
第一回のシリーズは、在野のコレクターとして名高い武井一雄氏が、その秘庫の門を開 いて“遺珠のいくつかを提供してくださることになった。記して深甚の謝意を述べると ともに、摺り部数を限ることを約し、あらたに広く全国の蒐集家にもご秘蔵の名品の提供 を願う次第である。