蒔絵の歴史を語る上で、将軍家御用達の「幸阿弥派」と双璧をなす名門でありながら、その実態をまとめた資料が極めて少ないのが**「五十嵐派」**です。
本日ご紹介するのは、平成16年に東京国立博物館が編纂した展覧会図録。わずか34ページという薄冊ではありますが、そこには「東博編」ならではの厳選された知見が凝縮されています。

本書の価値:ページ数を超えた「密度」
東京国立博物館による編纂: 日本美術の総本山ともいえる東博が、五十嵐派をどのように定義し、どの作品を選定したのか。その「選美眼」と「学術的な裏付け」は、ページ数の多寡では測れない価値があります。
知られざる「もう一つの頂点」への道標: 室町時代から続く蒔絵師の家系として、幸阿弥派と並び称される五十嵐派。加賀蒔絵の源流ともなったその静謐で品格ある作風を、効率よく俯瞰できる構成になっています。
希少な「五十嵐派」特化資料: 漆芸全般の書籍は数あれど、「五十嵐派」のみに焦点を絞った資料は非常に稀です。研究者やコレクターにとって、この「薄さ」はむしろ、無駄を削ぎ落とした純度の高い情報源と言えるでしょう。
こんな方におすすめ
五十嵐派や加賀蒔絵の歴史的ルーツを正確に知りたい方
漆芸史における「二大流派」のミッシングリンクを探している方
東京国立博物館による専門性の高い展示記録を収集している方
ページ数が少ないという点は、裏を返せば、必要な情報が最短距離で手に入る「ハンドブック」としての機能美でもあります。
すでに刊行から20年近くが経過し、入手が難しくなりつつある一冊。漆芸を志す方や、名門・五十嵐派の端正な美に触れたい方にとって、手元に置いておくべき「小さな巨人」のような資料です。





