以前の買取ですが、埼玉県和光市より空海・高雄山神護寺蔵・国宝・灌頂歴名等書道書買取事例です。
空海・高雄山神護寺蔵・国宝・灌頂歴名 三筆の一人空海の灌頂歴名、昭和61年に発行されたもので解説と表装用が付属します。灌頂歴名そのものは国宝に指定されています。
灌頂歴名(かんじょうれきめい、『灌頂記』とも)弘仁3年(812年)から弘仁4年(813年)にかけて、空海が高雄山寺で金剛・胎蔵両界の灌頂を授けた時の人名を記録した手記である。

松長有慶
このたび弘法大師真蹟シリーズの第二回の刊行に、京都神護寺蔵の国宝『灌頂暦名』が選ばれた。弘仁三年十一月と十二月、さらに翌四年三月、高雄山で行われた三度にわたる灌頂についての大師自筆の記録である。
灌頂とは密教の法灯を継ぐための宗教儀礼をいう。古代インドの帝王即位の儀式に起源をもち、仏教では菩薩が修行を完成させた とき、仏が知恵の水を菩薩の頭に注ぎ、法王の位を得た証明を与えるならわしがある。密教では資格をもった師が五つの瓶から集め た水を受者の頂に灌ぎ、受者が仏の五種の知恵を受け継いだことを示す。
密教の灌頂の種類は多い。主として八世紀後半以降のインド後期密教の系統をひくチベット密教と、八世紀前半期までのインド中期密教の伝統を伝える中国・日本の真言密教では灌頂の名称とか様式を異にしている。真言密教の灌頂で、よく知られたものに三種ある。
結縁灌頂は、仏、菩薩と縁を結ぶために行われ、在家の者もその灌頂の壇に入ることが許される。灌頂にあたっては、道場内に敷 かれた曼荼羅の上で、目隠しをして花を投げ、縁ある仏、菩薩と結ばれる。この儀式を投花得仏という。
灌頂暦名と神護寺
谷内乾岳
「灌頂暦名」は「舞督指帰』、『風信帖」などと共に、空海弘法大師の最も確かな真蹟として知られているが、このたび模本作製の 機会に、新たな観点から、諸師のご解明が得られることは誠に有難度きことである。
この『灌頂暦名』は言うまでもなく、空海が入唐求法によって恵果阿闍梨より受法された、金剛界灌頂、胎蔵界(ただし暦名には界は書かれていない)灌頂の、いわゆる両部灌頂をわが国において初めて開壇された時の覚え書であるが、そこに記載されている内容から、最澄伝教大師およびその弟子とをめぐる問題、また両大師と和気氏との関係など、高雄山寺における真言、天台両宗の開宗初 頭の交流が、凝縮された貴重な資料である。
高雄山寺はのちに神願寺と合併した際、空海によって神護国祚真言寺(略して神護寺)と改名されるが、高雄山寺時代のこの寺と 両大師との関わりは、むしろ最澄が古く、また両大師に共通の外護者が、暦名に記載されている和気真綱およびその兄弟であった。