日本小品盆栽大観

買取上限価格 4,000円

定価
著者西勝人
出版社近代盆栽社
出版年月昭和54年
ISBNコード

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この商品について

日本の生きた芸術と言われる盆栽が、最近とみに発展し世界のボンサイと謳歌されるよ うになったのは、それ以前の種々の条件もさることながら昭和四十五年大阪で行われた万 国博が一つの契機で、国内はもちろん、海外にまでも広く宣伝され、一躍世界の寵児となり 次いでアメリカ建国二百年祭には多くの盆栽がはるばる海を渡り日米親善に大きな役割を 果したことは、まだ記憶に新しい。このような隆盛の裏側とでも言うか、社会的背景から 推察すれば、困苦欠乏に耐え抜いた大東亜戦後に訪れて永続した平和と、国民生活の安定 によるもので、特に小品盆栽の流行は将に療原の火の如しの感さえあり、これは現在の日 本人、特に都会に住む人達の環境の知恵でも有りましょう。 

今回小品盆栽大観の刊行に当り、小品盆栽の歴史とのことで筆をとったが、これが意外と 難しい。何故ならば普通の盆栽の場合、宮内庁に愛蔵されている三代将軍遺愛の五葉松とか、東海道「原」の植木大盡植松家旧蔵の一対の赤松と言うように、かなりの星霜を経たもの が現存し、その歴史や背景をある程度物語ってくれるのに、小品盆栽に限っては、現品は もちろんのこと記録すらも皆無に近い。然しながら全くその手がかりがない訳でもない、 それは小鉢の存在である。

盆栽の源流は遠く鎌倉時代に遡るとされながらも、実際に庶民の間に定着、開花したのは 江戸末期、むしろ明治も二十年頃とされている。然しながら小鉢の分野で考察して一つの 例をとるならば、現在小品盆栽界で最も人気の高い竹本鉢をとり上げることが出来る。彼 の履歴や人柄については今まで多くの書籍に書かれているので、こでは省略することと して、井上良吉(初代 井上良齊)を師として、小石川、高田老松町に窯を築き、焼きものを 初めたのが明治初年、彼が二十才の頃とされ、明治二十五年十一月には四十五才の若さで すでに黄泉の客となっている。人も知るように竹本鉢には小指の頭ほどの小さな鉢はあ っても、さほど大きな鉢は見当らない。さすればこの当時、明治の初期、すでにこの竹本 鉢を使いこなす小盆栽が存在したことを立派に証明する資料にほかならない。

尚、陶芸界で最も有名な井上良齊、真葛香山、加藤幹山なども明治二十年前後に大日本」 を冠した樹鉢を盛んに焼成しているが、これとてもさして大きなものではなく、むしろ小鉢の部類に属するものである。薩摩焼の名工沈寿官もまた明治の初期に作陶されたであろ うと推察される小鉢が散見されます。

この他にも古九谷、古伊万里、湖東焼等と称する小鉢を時折見かけますが、樹鉢に限って は、これが果して何時の時代のものか判然としないのが現状です。ともあれ、これだけの 歴然たる年代の証拠が物語るように小品盆栽のルーツは明治の初期がその夜明けであった ように考察されます。

「明治の中期から末期にかけては盆栽、特に文人ものなどが流行し香樹園村田利右衛門は 明治二十九年月刊誌「盆栽雅報」を、続いて芝の苔香園木部末吉が主催する「東洋園会」が 金井紫雲を編集者に迎えて四十年に「東洋園芸」を発行するなど異常なまでの盛況を極めた 盆栽界も、大正初期に入ってからは不況のあおりで衰退し、加えて大正十年関東一円を襲った大震災は愛好者や業者の羅災に及び多くの盆栽や樹鉢の名品も一朝にして灰燼に帰

し、盆栽界もまた沈滞の期間を余儀なくされる訳である。蛇足ながら、東京の一部の業者 が、清水利太郎、加藤留吉の周旋で現在の大宮盆栽村を開設したのは震災の翌年の十三年 であった。明けて昭和の年代に入り、東京中心の同業者が相寄って昭和六年一月、東京盆 栽組合を結成した。

これが現在の盆栽協同組合の母体である。ついで昭和九年には盆栽誌「叢会」を主催した 小林憲雄等の数年がかりの奔走、努力が実を結び盆栽陳列の会場を、日比谷公園から上野 の杜の美術館に移すことに成功し、会名も「国風盆栽展」と改め、初代会長に松平頼寿伯を 副会長に酒井忠正伯を推戴し、新たな盆栽道の発展を推進した。

頼寿伯は人も知る旧松平藩十二代目の殿様であり、華族(伯爵)として明治、大正、昭和 の三代日本の上流社会を生き抜かれた方である。丁度十九回目の国風展開催予定の頃の叢 会で発行した「国風展の経歴」の中で次のように書いてあるのを抜萃してみた。 「国風展の準備全く整いたるに、陸軍省より突如として陸軍作戦記念画展覧会を開催する 為、会場を明けよとの通告に接し遂に中止(十九年九月会長松平伯逝去)再建第一回、会長 松平恒雄」と記されている。日を追って熾烈を極めた戦争の労苦を生々しく想い出させる 苛酷な記事であろう。

尚、昭和十六年に催された第十五回目の時に小泉又次郎が副会長として増員されている。 ともあれ小品盆栽としての現物が今に引継がれて現存しているのは昭和の初期のもので頼 寿伯が国風展の会長になられて以来のものであろう。当時は盆栽の中では全く未開拓の分 野とも言った「小品」を一つのジャンルとして確立させ、豆盆栽の呼び名を「小品盆栽」とし て堂々今日の芸術的地位に引上げたのは松平夫妻であって、国風展の初代会長に就任された 翌、十年五月には華族会館に於て小品盆栽の個展を開かれるなど、盆栽界に「小品盆栽」の清 清しい新風を送りこみ今日の隆盛の基盤を築かれたことは、この社会での偉大な功労者で もあり、小品盆栽界に印した巨大な足跡は量り知れないものと言えます。

昭和十九年七十一才の生涯を貴族院議長在職中に終られた彼は、夫人の松平昭子が夫君で ある伯の意志を継いで三十余年間を、この伝統を誇る小品を我が子の如く愛し通し、夫人 も又、先年他界された。

小品盆栽の生みの親とも言うべき松平夫妻に対して心から哀悼の意を表すると共に、感 謝の念を捧げて止まないものです。

その後の小品盆栽界は順風満帆、東京駒形の杉本佐七、あるいは俳優の中村是好等によ って世に宣伝もされ現在の隆盛に拍車をかけた訳です。

最近の小品盆栽界は前述したように目覚ましい躍進を続けている訳ですが、この原動力 になったのは、中村是好のテレビに於ける影響の大きさを見逃す訳には行きません。氏は 現在日本小品盆栽協会会長、俳優であるが故に、根っからの小品盆栽好きが、テレビの出演 中にでも時々顔を出し、これがこの道の底辺を広げる大きな役割を果したもので、氏の小 品盆栽界にもたらした功績は文多大です。 小品盆栽界の益々の発展を祈って筆をおきます。

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