実可子伝説・小谷実可子写真集

初めて水に接したのは三歳の時。育水会と いうクラブに入って、先生に抱えられながら、 水の中に「つけられた」という感じでしたね。 その瞬間の水の感触は今でも覚えています。

初めは一般的な水泳コースで泳いでいたの ですが、小学校三年生の終わり頃、クラブの 先生に、シンクロのジュニアの試合があるから出場してみないかと誘われまして……。シ ンクロというのがまだどういうものなのか、 全然わからなかったのですが、言われるまま に、ただ音楽に合わせて足をあげ始めたとい う感じでした。あれからもう十四年間。苦し いとか辛いというのを越えて、シンクロに喜 びを感じ始めたのが高校一年生くらいの頃で しょうか――。けれども、それはほんの束の 間で、また二年くらい経って、苦しい苛酷なばかりのシンクロになってしまいましたね。

今、思い起こすと、本当に色々なことがあ りました。アメリカ留学時代――これは私にとってかけがえのない青春の一頁でしたし、 また、胸に影が出たと言われ、入院生活を送ったり…

そして、やはりオリンピックでの感動です ね。泳ぎ終わって、プールサイドに立った時、 とにかく終わった、やり遂げたという感じで。 得点が出た時、初めて自分の青春の終止符と いいますか、すごく大きなことをやり遂げた という満足感と喜びが、とめどなく湧いてき て……。本当に感無量でした。

そして今後も力の続く限り、自分の納得が いくまで、泳ぎ続けようと思っています。そ して、やはりやるからには更に上を目指して いきたいですね。次は―やはり世界一を目標にして歩いて行きたいと思っています。

まず、当面の目標としては、FINAカッ プ、ワールド・カップがありますから、その 世界大会で、オリンピック後の小谷実可子を 見ていただきたいですね。